まちがいだらけの運命もそれなりいいじゃないか

A.B.C-Zとつかくんから何だかんだ離れられないひとです。

Defiled

 

5月10日。Defiled観に行ってきました…!

私の語彙力ではちゃんと表現出来ないと思うけど、この気持ちを残しておきたいので書きます。

 

 

 

 

 ※もう舞台は終わったけれど結末が書いてあることをお知らせしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

とつかくん演じるハリーが図書館のカード目録の廃棄とコンピュータ検索への移行を阻止しようとして図書館に爆弾を仕掛けて立てこもる役と知って、ずっとなんでハリーはそんなにカード目録を守りたいのだろう?と考えていた。

実は私は大学でちょっとだけ図書館学を勉強していて、カード目録についても勉強している。私が授業で習ったのはカード目録からコンピュータ検索へと変わったことで便利になったこと。カード目録を作る作業は本当に大変で、一冊の本が追加されるとタイトル名、著者名…などなど複数のキーワードから探し出せるように何枚もカード目録を作らなければならない。探すのも整理するのも大変で、コンピュータ検索へと変わって一番楽になったのは図書館司書だったと聞いた。

だからハリーがカード目録を守りたい理由がどうしても分からなかった。その答えを見つけられたらなと思いながら観劇した。とつかくんがどうハリーを演じるのか、何を訴えかけてくれるのかがすごく楽しみだった。

 

 

 ハリーが守りたかったもの。言葉に出来るものだとやっぱりカード目録や図書館になるかな。時代がアナログからデジタルへと移行していくことで本が読まれなくなること、図書館が利用されなくなること、そうすればいずれ図書館自体がなくなってしまうこと、それを恐れていたのかな。

ハリーのこの考えは私も理解出来る。Defiledが初演されたのはデジタルへと移行していた時代。現代はデジタル化が完遂されたような時代。図書館は本だけでなくインターネット資料なども提供するようになっている。だから最近では"図書館"ではなく"メディアセンター"や"情報センター"という名前で図書館がある。確かに図書館はあるけどハリーが望んだ図書館の形ではないんだろうな。本が好きで本に囲まれている空間が大好きな私も"図書館"が"図書館"でなくなってしまうことは悲しい。

 

でも命までかけること?犯罪まですること?そこにはどうしても共感出来ない。どうして?それはハリーが本当に心の奥で守りたかったものはカード目録でも図書館でもないからかもしれない。カード目録や図書館そのものを守りたいのなら、最初にカード目録の上に乗るとき靴を脱いだりブライアンがコーヒーを置いたときにすぐにどけたり…この姿勢が最後まで貫かれると思うから。ハリーなら貫くと思うから。それにブライアンの提案にも乗る。だってそれならカード目録そのものは守れる。でもハリーは最後に靴でカード目録の上に乗った。ブライアンを振り切り図書館と共に死んだ。ハリーが本当に守りたかったものはカード目録に詰まっている思い出や歴史、司書の思い…そんなものだったのかなぁ。それがハリーにとって神聖なものの中で唯一汚されていなかったものだった。ハリーの神聖なものに対する愛はとてつもなく深い。メリンダにだってきっとそう。でもメリンダはハリーが考える神聖な生き方とは違う生き方をしている。それはハリーにとっては神聖なものを汚されたということ。それがハリーには耐えられないことなんだろうな。だからこそ神聖なものが汚されるぐらいならいっそ自分で綺麗なまま破壊したかった。神聖なものがないのならば生きる意味はない。それがハリーなのかな。

 

でもハリーは最初からもう守れないことを分かっていたんじゃないかな。だってハリーは頭が良い。きちがいでもない。無謀だって気づかないはずがない。それでも実行したのはハリーにはもうこれしかなかったから。出てきて爆弾を仕掛けてる時のハリーが悲しすぎてもうそこで私は泣きそうになった。

 

ハリーはひたすらに交渉を拒んだ。どうせ理解されないと理解されることを拒んでいた。でも本当に理解されることを望んでいなかったのかな?誰かに話したくて理解してほしかったんじゃないかな。自分を。だからブライアンが理解してくれようとする態度をとってくれたから少し心を開いた気がする。少しだけど。ハリーはブライアンのこと好きになりかけてたと思う。でもカード目録や図書館、神聖なものと比べたときまだまだ優先順位が高いのは神聖化したもの。最後ブライアンと抱擁するときのハリーの背中があまりにも小さくて弱々しくて…。全てを悟ってしまった悲しさと、ブライアンに対する「ごめんね」が少し表れていたのかな。

 

 とつかくんが演じている役を愛しく思ってしまうことはいつもなんだけどハリーは特にだったな。理解したかった。だからハリーが最後死んでしまった姿は衝撃的で悲しくて涙が止まらなかったし、しばらく呆然としてしまった。今でも鮮明に思い出せる。カテコの笑顔で「あぁ…とつかくんだ…」ってほっとした。

 

これまで書いてきたのはただの私の解釈でしかない。Defiledには答えがないと思う。どう考えても違うような気がするし当たっているような気もする。答えはハリーの頭の中にしかない。とつかくんがどう考えて演じていたのかは聞いてみたいなぁ。

 

(長文すぎて自分でびっくりしてます。笑 ここまで読んでくれた方ありがとうございます…><)

 

 とつかくんにとってDefiledという舞台に出会えたこと、勝村さんと二人芝居が出来たこと、ハリーを演じられたことは絶対に財産になるんだろうな。とつかくんの演技でこれだけ心を動かされたということが嬉しかった。これからのとつかくんが楽しみでしかない!

 

とつかくん、勝村さん、スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。素敵な舞台を時間をありがとうございました。

 

 

そして、ハリー。ありがとう。